【プロローグと言う名の買い物】

「オイテメェ!人にぶつかっておいて挨拶も無しとは―」
「本日は特別に、火晶石を取り寄せてまして―」
「誰か買わねえか!黄金の首飾り、今なら格安の12000spで―」

「なんと言うか・・・雰囲気悪いな」
「そう?意外と住みやすそうだけど」

ここは交易都市リューンの地下街。
古代遺跡を利用してつくられた、盗賊ギルドの管轄する「鼠の行路」。
他の冒険者が戸惑う中、ステファニーは慣れた足取りで路地を歩く。
「まあ、高貴の出の者には居づらいだろうな」
アンゲロが小声で呟く。彼もこの場の雰囲気には慣れているようだ。
「それで、武器を買うって・・・何を買うつもり―?」
ヘー・イッシが見たのは、武器を構えてるステファニー・・・についてる値札。

『クロスボウ 1000sp 矢:3sp』『黒曜の羽 50本セット 1500sp』
『機工師の手甲 3000sp』『初心者でも扱えるハクトウワシ 1000spから』

「これにしなさい。こっちの方が使えます、ええ、そうしなさい」
結局、ギー・ギャロワの必死の説得により、100spのスリングを買っただけで終わりました。
本当は細剣技能やナイフ技が買いたかった・・・とステファニーは薄れいく意識の中で思った。
それにしても今日は熱い。まるで鉄釜のなかにいるような―。
暑い?  いや、熱い。ものすごく。

 
 

「癒身の法! 癒身の法!」
思い出した。我々は今、火の海の中にいる。
仲間が気を失う度に、ノーミルが癒身の法を唱えている。
あとどれくらい我慢すれば、この地獄から解放されるのだろうか。

 

【本日の依頼】

「死者達の住まう国との境目である『死者の門』の探索依頼。
 山中深くの探索・危険手当込で600sp、発見すれば更に400spを払おう」
これが本日の依頼。
『死者の門』を見つける火の精霊を借り受け、探索を開始したのは今日の午前。

「そろそろ夕食にしよう、野営の準備を」と誰かが言った。
ほんの手違いで、火の精霊が荷物を燃やして何処かに消えたのはその数分後。
用意してた糧食は全て消し炭と化し、ただいま周囲を探索中。
「食べられそうなものは無かった」とステファニーとヘー・イッシの報告。
この二人が捜して無いなら仕方ない、と食料調達は諦める冒険者一行。

『死者の門』を見つけられる精霊も居なくなり、食料もなくなり。
もはや撤退するべきか、と思った矢先に一行は見かけた。
山奥にそびえたつ豪華やお屋敷。誰ぞの別荘だろうか、看板を見る。
「・・・レストラン、南瓜軒?」

「ポテトサラダ、焼き具合はレア。ソースは・・・木苺だな」
「いや、あえてソース抜きの塩胡椒なんてどうです?」
慣れた様子で注文を行うヒルベルトとギー・ギャロワ。
「こんな高級店でタダ飯だなんて、夢のようだな」
何でも今日は料金も無しで、フルコース料理が食べられるとか。

店内も豪華絢爛。満席で、客層も気品のある者ばかり。
・・・いささか客層が骸骨や蜥蜴男など、人外が多い気もするが。
受付の男(?)も、人間かどうか疑わしい。疑わしい、が。
それにしても腹が減る、そしてご馳走の気配。多少の細かいことは気にしない。

「メインディッシュは肉料理で、焼き具合とソース・・・これはステーキですね」
「こういうのは塩コショウのみ、野菜の付け合わせなしで、肉本来の味を・・・」
一人延々とフルコース料理の何たるかを語るギー・ギャロワ。
「さすがは元貴族。詳しいな」
「ヘー・イッシも高貴の出じゃなかった?」
「オレ田舎育ちだから・・・」
ステファニーは「ふーん」と興味なさそうに返した。客席のテーブルの上が気になる様子。
「お待たせ致しました、此方へ」店員に案内されるまま、一行は奥の部屋へと向かう。

「道すがら、ご注文をお伺いしましょう―」
注文はギー・ギャロワの一存で決まった。
「フルーツサラダ、焼き具合はレア、肉の味付けは塩コショウのみ・・・付け合わせは無し、と」
店員はすらすらとメモを取ると、何処かへと消えていった。

「ちょっと・・・薄暗くない?」
ステファニーは辺りを見回している。
「鼠の行路よりかはマシよ」
ノーミルはそう言うものの、一行は不安になっている。
案内された部屋には、椅子もテーブルもない。
そしてその不安は的中する。

一行の通った扉には、いつの間にか鉄格子。
明かりがついたかと思えば、それは足元から湧き出る炎。
閉ざされた空間、周囲は長さ1mほどの鉄針だらけ。
先程の店員がうっすらと見える。
「美しく調理されてくださいね。それではごきげんよう」
―冒険者たちはようやく、自分たちがステーキになるんだと気付いた。

 

【冒険者のステーキ】

「脱出方法は一つ。行く先の邪魔な針山をへし折りながら、あそこまでたどり着くんだ!」
アンゲロが指差した先は、部屋の奥にいる南瓜のオブジェと、そこにいる人影。
人影――コックと呼ばれた者は、何やら支度をしている。
「熱ッ!このままじゃ俺たちは丸焼きだ! 行くぞ!」
早速、針山に居合斬りを放つヒルベルト。
続けざまに仲間が攻撃を合わせると、針山の一角が崩れた。

「おっといけない。サラダを用意しなきゃ!」
コックが何かを振りかけている。果物の、酸味の効いた香り。
「やばい!防具が錆びてます!」
ギー・ギャロワが気付くも、時すでに遅し。皆の防御力が弱まってしまう。
それでも何とか、息の合った集中攻撃で突き進んでいく。

「こ、これじゃ折角買った武器が使えない・・・」
肉体の無い無機質な針山には、スリングの威力が半減してしまう。
距離を取ることで回避能力も上がるのだが、どこもかしこも高温の火の海。
ステファニーが一瞬意識を失いかけた中、体に再び力がこみ上げてくる。

「アンゲロ、大丈夫!?すぐ回復するから待ってて!」
賢者の杖を構え、癒身の法を連発するノーミル。
他の皆も、渾身の一撃を連発して針山を破壊していく。
武器を構える力も薄れていく中、コックまであと少しの所まで来れた。

「ノーミル、貴方も一度体力を回復しておきなさい!」
重傷を負い、息も絶え絶えなギー・ギャロワが叫ぶ。
「大丈夫!まだ5回は使えるわ!」
同じく重傷であるノーミルは、ギー・ギャロワに癒身の法を唱えた。
そして賢者の杖をかざす。それと同時に、コックが何かを振りかけた。

「あれ? 癒身の法が使えない・・・?」
ノーミルの動きが止まる。アンゲロだけが状況を理解していた。
「どうやらあのコック、スキル封印の粉をかけたようだ・・・」
アンゲロも、魔法が使えなくなったようだ。
「これでもう、復活はできないね」
コックが言った直後、ノーミルは意識不明となった。

そこからは、記憶が定かではないが。
針山の中から日焼けしたアニキが出てきたり。
炎の精霊が湧いて出てきて「冥途の土産だ」と、呪文書を渡されたり。
気を失ったノーミル、ヘー・イッシ、ステファニーを背負い、
ヒルベルトは「居合斬りを3連続引けなかったら死んでいた・・・」と言い残して、
その勢いのままコックを火の海に沈めて、冒険者一行は脱出に成功しました。

 

【エピローグ】

火の海を脱出し扉を抜け、一行は豪華絢爛な場所にたどり着いた。
「先ほどはおたのしみでしたね」
そこには支配人と名乗る、先ほどの案内役がいた。

「ちょうど良かった。居合斬りがまだ一回使えたんだ・・・」
構えるヒルベルト。ギー・ギャロワとアンゲロが両脇を囲む。
「な、何をする貴様ら―」

≪このシーンには暴力描写が含まれるため、割愛されました≫

「最終的には、コレあげるから許してください、って泣いて謝ってたな・・・」
アンゲロは支配人からもらった包丁を握ってる。
「その包丁、呪われてますね・・・誰を攻撃するかわかりませんよ?」
「結局『死者の門』は見つからなかったし、飯も食いそびれたな」
3人が目を覚まし次第、さっさとリューンに帰ろう・・・今日は食事抜きだ。

 

【今回の冒険】
≪買い物≫
ステファニーにアイテム「スリング」:100sp

≪獲得品≫
『死者の門』の探索(未達成):600sp
入手品:スキルカード「焔の網」アイテム「ほうちょう」

引き継ぎ金収入支出ツケ合計
金額(sp)1190+600-10001690
 
スキルアイテム召喚獣
焔の網スリング・ほうちょう





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Last-modified: 2014-08-21 (木) 22:05:35